ストリートで歌っていたら、
前回ブログでは、芸能人等が持つパブリシティー権(Right of Publicity)に
ついてお話させて頂きました(下記参照下さい↓)。
https://www.nsm.ac.jp/blog/24218/
因みに、パブリシティー権には、コンサートやイベントなどを行う権利も
含まれており芸能事務所(プロダクション)と専属的に契約する場合は、
昨年度ニュースで大きく取り上げられた「闇営業」は禁止事項の1つと
となっている場合が多いですね。
今回は3.原盤権(Master Recording Right)についてお話させて頂きます。
あなたがあなたのオリジナル曲を完成し、ストリートで歌っていたら、
知らないおじさんが近づいて来て、「いい曲だね!費用を負担してあげるので、CDを作りませんか?」
と尋ねられ、「よろしくお願いします!」と返答すると、そのおじさんが
原盤権を持つことになります(オリジナル曲の著作権はあなたが持ちます)→通常は契約書を交わします。
では、原盤権とは何か、原盤権と著作権の違いは何か?
著作権については以前ブログに掲載しましたので、こちらを確認ください↓
https://www.nsm.ac.jp/blog/20638/
原盤権は「楽曲を商品化するにあたって発生した費用を負担した人や会社が持つ権利」
になります→おじさんが費用を負担するので、原盤権はおじさんが持ちます。
楽曲が商品化される際、一般的には下記の4つのステップを踏み作業が進みます。
この作業には、多額のお金がかかります(メジャーレコード会社が発売するCD制作
にかける費用の平均はアルバム[12曲入り]でおよそ1,000万円程、そのほとんどが
スタジオ使用料関係になります)。しかし、近年はレコーディング機材の技術発展等もあり、
安価で作業ができる様になってきてはおります。
1. プリプロダクション (Pre-Production)
楽曲の構成やアレンジを決め、仮のレコーディングを何度も試して、設計図(譜面等におこして)
を完成させます(アルバム制作の場合、ビッグアーティストは2-3ヶ月かけて海外のスタジオに
こもり、この作業する人達もいます)。
2. レコーディング (Recording)
1. で完成した設計図(譜面等)を基にスタジオでレコーディングをします。
3. ミックスダウン (Mixing Down)
2.でレコーディングした音(歌、ベース、ギター、ドラム、
キーボード等)を商品として再生させた場合の音の配置(ステレオ(LR)イメージした場合に、
左からこのギター、ベースは真ん中、右からはドラムシンバル等々)やそれぞれの
音色や音量を決定していきます。
4. マスタリング (Mastering)
アルバム(12曲入り)でお話すると、曲順、曲間、音圧や音量調整(各音源の音圧や音量のばらつきなどを修正)を決定して、お客さんがスムーズに心地よく聞けるように最終的に調整をしていきます。
上記作業を終了してできるのが、マスターレコーディング(Master Recording )で日本語で「原盤」
になります。
それに付随(ふずい)している権利を原盤権(Master Recording Right) と言います。
以前のブログでも説明しましたが、レコード製作者は著作隣接権者にもなります(下記参照下さい↓)。
https://www.nsm.ac.jp/blog/22903/
ストリートで歌っていたら近づいてきたおじさんが、もし、A&Rであれば、ヒットの可能性がぐっと
あがりますね(A&Rについては下記参照下さい↓)、
https://www.nsm.ac.jp/blog/23669/
次回以降、もしこのおじさんがメジャーレコード会社のA&Rで、あなたの曲全てを使用してアルバム制作をし、
100万枚販売した場合、おじさんがいくら儲けるか、あなたにいくら著作権印税が支払いされるかなどについてのお話させて頂きます。
小谷がお届けしました。