NSM WEB MAGAZINE

プロへの第一歩を!

学校・学生紹介

2025.04.14

「音楽を仕事にする」日比野賢司先生編

「好きな音楽」を仕事に。ミュージシャンとして、音楽クリエイターとして、音響や照明として、マネージャーやライブスタッフとして。音楽業界が多様化する中、音楽に関わる仕事も様々。そうやって音楽と生きていく。好きな事で生きていく。その為の努力や継続や信念を後押ししてくれる専門学校が名古屋にある。名古屋スクールオブミュージック&ダンス専門学校である。(※以下NSM)NSM連載シリーズではどんな先生がどんな思いで生徒と向き合っているかをインタビューでお届けする。第2回目に登場する先生は日比野先生。専門学校だから学べること、NSMだから学べること。シリーズ第2弾、日比野賢司先生編をどうぞ。

Interview by 柴山順次
Photo by aoi

2YOU:NSMの講師の皆様にお話を伺っていくインタビュー連載、今回は日比野先生にお話を伺います。日比野先生、宜しくお願いします。

日比野先生:よろしくお願いします。緊張しています(笑)。

2YOU:日比野先生が最初に音楽に興味を持ったのはいつ頃ですか?

日比野先生:自覚があるのは恐らく小学校ぐらいなんですけど、自覚がないとしたら保育園の頃で。おばあちゃんに「幼稚園の頃からよく歌っていたね」って後から聞かされて。SMAPの歌をよく踊りながら歌っていたみたいです(笑)。歌番組が好きでよく見ていたんですよ。自覚的に音楽に興味を持ったのは小学校の高学年くらいだったと思うのですが、僕はドラマーなのですが、聴いたものを音を出して叩いてみたらそれがエイトビートだったことがきっかけだったかもしれないです。

2YOU:それからドラムを始めたのですか?

日比野先生:そうですね。それに気付いた後なので、小学校6年生ぐらいだったと思います。近くの教室に週1でドラムを習いに行かせてもらって。

2YOU:当時憧れたドラマーはいらっしゃいますか?

日比野先生:最初はGLAYのドラムを叩いているToshi Nagaiのドラムに出会って、色んなパターンをコピーしていましたね。それから色んなバンドのドラムを聴くようになっていきました。ちなみに初めて組んだバンドはMr.Childrenのコピーバンドでした。それが中学生の頃ですね。

2YOU:文化祭ですか?

日比野先生:いや、ピアノを習っている友達とギターをやっている友達がいて。その友達と一緒にやっていたんですよ。当時はまだバンドをやっていると不良っていうイメージが残っている時期で、結構みんな激しいバンドのコピーをしていたんですよ。ハードな洋楽とかMONGOL800とか。その中で僕らだけMr.Childrenのコピーをするっていう。たぶん珍しかったと思います(笑)。

2YOU:NSMに進学されたのは?

日比野先生:中学校の頃から軽音楽部の憧れていたので、高校を選ぶのも軽音部があるかどうかで選んで進学したんですけど、その学校の軽音部がなくなってしまって凄くショックを受けたんですよ。そんな中、僕が高校を卒業するタイミングでNSM(当時NCA)が開校するというパンフレットを見て「ここしかない!」と思って入学しました。

2YOU:生徒としてのNSM時代を振り返るとどんな生活でした?

日比野先生:正直、毎日楽しくて仕方なかったです。だからこそ自分がこの学校の職員になって楽しい学校生活を生徒たちに教えていきたいと思ったんです。僕が生徒だった頃はバンド系のアンサンブルの授業を受けていました。僕はドラマーあとは音楽理論も教わりましたね。そこで学んだことが大きかったのと、「欲を言えばもう少しここを学びたかった」というポイントを自分が教員になったことで還元出来たらなと思っています。

2YOU:実際に日比野先生はどのような授業をされているのでしょうか。

日比野先生:自分はドラマーなのでドラムを教えることがメインではありますが、それだけじゃなく、生活のサポートや親御さんとのコミュニケーションを取ることも僕の仕事だと思っています。僕が生徒だった頃とはコンプライアンスの観点ひとつ見ても全然違うし、競争することも無くなってきているので、色んなことが変わってきているのですが、音楽に対するモチベーションはどの時代も変わらないと思っているので、そういう話も生徒としますし、「先生に聞いて欲しい話があります」と呼び出されて恋愛の相談を受けることもあります(笑)。アルバイトの相談や家庭環境の相談とか、生徒ひとりひとり色んなことを抱えながら生活しているのでしっかり向き合っていきたいなと思っています。

2YOU:恋愛相談まで受けるのはエンタメの学校ならではですよね。

日比野先生:誰と誰がいい感じなのか、学生の恋愛事情を把握していくのってイベントの項番を考える時に役立ったりするんですよ。

2YOU:ドキドキしちゃいますね。

日比野先生:ドキドキしますね(笑)。

2YOU:色んな生徒さんと向き合ってこられた中で、印象に残っている生徒さんっていらっしゃいますか?

日比野先生:遅刻しまくりで授業もサボっていた生徒が、卒業してからバンドで活躍している姿を見ると感慨深いものを感じますね。音楽業界って「決まったことをやれ」の世界じゃないので。勿論遅刻や欠席は社会に出て良くないことなんですけど、でも卒業して頑張っている姿を見ると一概には言えないなって思いますね。そういう生徒は印象にも残っています。卒業生がミュージシャンとして、裏方として、音楽シーンで働いているのを見ることがこの仕事のやり甲斐です。

2YOU:NSMは在校生だけでなく、中学生や高校生とのコミュニケーションも取られていますよね。

日比野先生:そうですね。体験入学もありますし、中学、高校の生徒さんとのお付き合いもあるのですが、若い生徒さんと話すと自分がフレッシュだった時代を思い出すんですよ。そこで自分自身の軌道修正が出来るというか、忘れちゃいけない感覚を思い出させて貰っていて。逆に学ぶことが多いですね。大人になると雑音が入ってくるけれど、そこをキュッと戻してくれるんですよね。

2YOU:僕もNSMで開催されている「NFES」の審査員を長年携わらせて頂いておりますが、中高生のライブから学ぶことも多いですから。

日比野先生:言い方は悪いですけど、そんなに上手じゃない若い生徒が「ガーッ!」って演奏している姿に感動しちゃうんですよね。

2YOU:テクニックも勿論大事ですけど、そうじゃない衝動の部分で思い出させてくれることが本当に多いなと。

日比野先生:あの感覚はやっぱり非常に大事だなと思いますね。

2YOU:NSMへの進学を考えている中高生もいると思いますが何かアドバイスはありますか?

日比野先生:やれ学歴というところから「君に何が出来ますか?」という時代に移り変わってるような気がしていて。何処に入ったらどうとかではなくて、何をしたいかで進路を考えてもいいんじゃないかと思いますね。中には親御さんから「この高校に行きなさい、この大学に行きなさい」というのもあると思うのですが、その子にしか出来ないことを学んで頂けたらなと僕は思っています。例えばNSMに入った子だって音楽以外の何かを学校で見つけたって良い訳なんですよ。そうやって自分の道を見つけてもらうサポートをNSMを通じてやっていけたらと思っています。

2YOU:在校生に何かアドバイスをするとしたら如何でしょうか。

日比野先生:NSMという学校の中でイベントも含め色んなことが出来てしまうので、ある意味狭い世界で物を考えてしまっている生徒が多い気がしていて。なのでもっと視野を広げて音楽を発信して欲しいとは思っていますし、よく生徒にも言っています。

2YOU:外の世界を知ることが出来るという意味ではFREEDOM NAGOYAやYON FESなどの大型フェスでNSMの生徒さんがスタッフをされている姿をよく見かけますが、皆さん良い表情していますよね。辛い部分も含めて。

日比野先生:校舎の中で見る学生の顔とは全然違いますね。辛くて泣いている生徒もいるんですけど、イベントが終わると大きな経験を積んで帰ってくるので。第一声はやっぱり「辛かった」と必ず言うのですが、その後に「やって良かった」とみんな言うんですよ。その経験は大きいですね。

2YOU:今後学校でやってみたいことって何かありますか?

日比野先生:先ほど少し話したんですけど、何事においても競い合いがあまり無くなってきたと思うので、何処かでその要素は復活させたいなと。ただ、コンプライアンスもあるので昔のようにはいかないかもしれないのですが、全国の音楽系の学校のネットワークを使って競い合える大会をやってみたいなとは思っています。あとは学校だけでなく、外に向けた発信を学校としてしていきたいですね。

2YOU:先生個人としては何かございますか?

日比野先生:僕がNSMの職員になって6年経つのですが、卒業生からメジャーデビューを果たした生徒が出てきていて。自分が担任を受け持った生徒がテレビに出ていたりラジオから流れてきたり、そういうのって凄く嬉しいんですよ。そういう生徒をひとりでも多く輩出出来るといいなと思っています。

2YOU:では最後に生徒さんやNSMに進学を希望する人にメッセージを頂ければと思います。

日比野先生:何かを変えたい、自分を変えたいという気持ちを持っている人には僕が自信を持ってこの学校をお薦めします。在校生の皆さんは、その素晴らしい環境があるので最大限に使って頂ければと思いますし、中高生の学生さんもお気軽にご来校下さい。名古屋の栄から何か新しい音楽を学校から発信出来たらと教員一同、思っております。

こちらの記事はアーティストのインタビューに特化したメディア「2YOU」で公開された記事を転載したものです。
https://2youmagazine.com/column/nsm241224/